牽引

8月25日、昨年度大学選手権4強の京都産業大との練習試合。FW自慢の相手に真っ向勝負を挑み、2トライをあげて勝利に貢献したのが2年生・HO佐藤健次選手。試合を振り返ります。

「セットプレーは良かったと思うのですけど、フィールドのところでもうちょっと出来たかなと…。」

良かったというスクラムでは前半こそペナルティの取り合いも、後半に入るとタテ続けにペナルティを奪うなど、伝統的にスクラムが強い京都産業大を相手に確かな手応えを掴みます。

「相手が特殊な組み方なので自分たちのやりたいことを負けずに意識しました。結果、ペナルティも何本か取れましたし、チームの総合力が見えた試合。徐々によくなってきていますし、戦えている自信があります。」

春シーズンはどの試合でも苦戦したスクラム、夏を迎えて21日の帝京大戦、そしてこの日の京都産業大戦と春からの成長の跡を見せます。

「(変わったのは)全員のスクラムに対する意識。春シーズン当初は自分たちのスクラムに自信を持てていなかったので、8人がスクラムにフォーカスできていなかったのですけど、今は自分たちのスクラムに自信がついてきて全員で押すことが出来ている。メンタリティのところでも良い結果が出ているのかなと思います。」

FW陣のハイライトは後半23分、スクラムでペナルティを奪い、ゴール前ラインアウトのチャンスを得るとそのラインアウトモールを押し込み、最後は佐藤健次選手が外国人選手のタックルをモノともせずにトライをあげます。

「前の7人がしっかりモールを組んで相手に入ってくれていましたので、前の7人に感謝です。ラスト5メートルを今年は拘ろう、FWとしてのプライドだと話していたのでそこをしっかり出来て良かったです。」

スクラムでペナルティを奪い、モールでトライをあげる度にBK陣がFWに駆け寄って祝福、そうしたシーンに佐藤健次選手も笑顔を見せます。

「岡ア颯馬さん(3年WTB)とかが凄い喜んでくれて…。BKのみんながフロントに声をかけてくれるので、そういうところがチーム力かなと思います。BKが戦いやすいというか、気持ちよくプレーをさせてくれています。」

一方でまだまだ不満が残ると話したのがフィールドプレーとラインアウト。それぞれ細部の課題を話します。

「(フィールドでは)あまりボールを持てなかったというのもありますし、(槇)瑛人さんとのオフロードのところでコミュニケーションミスがあったり、僕の外が空いていたのでそこを通して欲しいと(内側の選手に)伝えたのですけど、それが伝わってなくて、僕のところにきてしまってミスしてしまったり、そういうディティールのコミュニケーションがまだ出来ていないです。
(ラインアウトは)今年からノットストレートに厳しくなって、難しくなったのですけど、その中でも世界基準で投げていかないといけないです。あとはスタメンの(選手の)高さでずっと投げてて、変わった選手に対して同じ投げ方をしてしまってちょっと高かった…そうしたミスも一本あったので、そういうところまで気を遣える、修正できるようなスロワーになりたいです。」

2年生となり円陣などでも常に情報発信、既にチームの顔とも言える存在感を見せる佐藤選手。勝負の責任を背負っていると表情を引き締めます。

「去年の負けを経験した者として、今年こそは勝たなければいけない。FWのプライドを持って、チームが負けたら僕のせいだと思って、自分の中でやっています。去年は絶対的なリーダーであった長田さん、河瀬さん、(小林)賢太さんに自分もただついていくだけだったですけど、今年はチームがより良くなるためにまとめ役になったり、前線で体を張ったりいろんなことを使い分けてやっていかないといけないです。キャプテンや上級生じゃないですけど、そこはリーダーシップを持ってやっていきたいです。」

昨年度のNO.8からHOへ、転向数ヶ月で既にセットプレーのキーマン。そしてフィールドプレーにも妥協する事無く「両方できるHOになりたい。」と話す2年生が3年ぶりの『荒ぶる』へとチームを牽引します。【鳥越裕貴】



後半23分、タックルを引きずりながらパワーでトライをあげるHO佐藤健次選手。今季のチームについて「全員が考えて、全員が走る、スペースを見つけたら全員で共有して、蹴られたら全員で下がる。一番簡単な事なのですけど、全員がキツいこと、全員が判断してチームの為に体を張るそんなチームだと思います。対抗戦の初戦から一貫性を持って、厳しい試合もあると思うのですけど、落ちずにチーム力を高くしていきたいです。」

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