総括

8月28日、夏合宿最終日は同志社大との練習試合。前半、SH宮尾昌典選手がシンビンとなるなど7-10とリードされて折り返す苦しい展開、後半に3トライを集めて逆転勝利、大田尾竜彦監督が試合を振り返ります。

「帝京、京産と(昨年度)トップ4のチームを相手に1勝1敗で来ての同志社戦。受けてしまいましたね。少し勘違いしているのかなと…。」

試合後の円陣で選手達に話したという言葉を明かします。

「対抗戦、青学と筑波は死に物狂いで来るだろうから同じ事をやっていたら同じように苦しい展開になるよと…。どんな時でもチャレンジャー精神だよねという話はしました。」

それでも合宿の最後で一番体がキツい時に勝ち切れたのは収穫と笑顔を見せます。

「2週間半の合宿で、最初の1週間は練習でしっかり追い込んで、残りの10日弱くらいで帝京を含めて3試合やっています。タフな中でやっていますし、しんどさはあったと思うのですけど、最後はきっちり結果を出してくれているので収穫はあったと思います。」

その合宿の中で最大の成果は逞しさを増したFW陣、今年度からフルタイムで指導にあたる仲谷聖史コーチの指導の下、チームの底上げが進んでいると手応えを話します。

「FWで戦えることを確認できるかどうかはすごく大きなテーマでした。そこを確認できたことはすごく良かったですね。スクラムについても全カテゴリーで良くなっている。個人の力に頼っていないという事が言えると思いますし、負けはしたものの帝京戦もスクラムの改善がなかったら色んなモノは出来なかったかなと思います。」

この日も後半29分にスクラムでペナルティを奪い、そこから逆転トライに結び付けるなど、力をつけたFW陣が試合の流れを変えます。そして夏合宿後半、BKでチームに勢いを与えたのはSH小西泰聖選手の復帰、8月24日にDチームで戦線復帰を果たすと、27日Cチーム、28日Bチームと試合を重ねる毎にグレードを上げます。

「(復帰は)デカイですよ。プレー面でスピードがちょっと一人違うので。ほんとに何か待ちに待ったという感じはしますし、宮尾と真逆なので、宮尾もまた伸びるだろうし。あと4年生で勝ちに拘れる選手なので、チームに熱を帯びさせてくれているかなと。今やれることを全て賭けてやってくれている。」

FWの充実に、1年生時からアカクロに袖を通す実力者の復帰、様々な出来事のあった夏合宿について記者から総括を聞かれると、少し間をおいて、帝京と明治に連勝した昨夏と比較しながら切り出します。

「やることやったかな…という感覚は去年の方が大きかったかなと思います。今年はここからどうなっていくのかな…という感じです。去年は夏で作れたと思ったけど伸び切れなかった…対抗戦に入ってから伸びるチームしか勝たないなと、去年のうちを見て思ったし、去年の帝京を見て思ったので、対抗戦で伸びるためのパーツ、材料作りはしたという感じです。ここからどういう風にチームがまとまって、どういう風に強みが出て、どういう風に頑張れるか、そういう感じのことなんだろうなと思っています。アタックとかはもっとこうなるだろうなというイメージはあります。チーム全員で力を出し切る、支えあう、その辺がどうなるかなと思っています。」

今年は練習中から気付いた事を3年生岡ア颯馬選手、2年生佐藤健次選手らが相良昌彦主将に進言、そうした雰囲気に大田尾竜彦監督も頷きます。

「そういう意味では学生同士のコミュニケーションとしては今までとちょっと違っています。去年は長田があまりにも完璧すぎた…どんなキツイ時でも『大丈夫でしょ』みたいなことしか言わない鉄人だったので(笑)、今年の方が意見を言いやすくなっているのではないですかね。勿論、去年も本音でぶつかり合っていたとは思いますが、より今年は学生の意見が通っていると思いますし、そういうのを求めています。今年は学生と作り上げている感はありますね。」

夏合宿でしっかりと固めた基盤の上でここからどういった成長曲線を辿るのか、全員でチームを作り上げる秋対抗戦がいよいよ始まります。【鳥越裕貴】



夏合宿序盤、SH陣と居残り練習する大田尾竜彦監督(左)。40球近く連続でボールを捌くハードな練習にさすがの宮尾昌典選手も苦悶の表情。

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