10

9月18日、対抗戦・筑波大戦。今季初の背番号10でスタメン出場、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたのが4年生SO吉村紘選手。

「率直に久しぶりの10番という緊張感と、やってやるぞという気持ちがあって試合に臨みました。個人としてはチームをコントロールして特に前半はいい試合展開にもっていけたのではないかなと思います。FWもセットプレーで前に出てくれましたし、アタックもうまくいってスペースも作れました。ほかの14人に対しても早い指示でストレスなく出来ていたと思います。」

自らのチャージから先制トライを演出するとその後も攻撃をリードし続けて前半を23-0と雨の中でしっかりと試合をコントロール。後半も20分まで相手陣で戦い続けるも、ここで得点を上げられずに終わると試合の流れが大きく変わります。

「敵陣22メートルに入ってからのアタック、チームとしても取り組めていなかったところではあるのですけど、もっと落ち着いて取り急がずに、22メートルより内側にいることを大事にもっと長く居られるようなアタックを出来ればよかったかなと思います。後半はキャリアが抱えられてボールが出なかったり、イージーなパスで相手ボールになったりという部分が出ていたのでチーム全体としての課題かなと思います。」

後半は得点をあげられないまま、逆にモールで3トライを奪われるなど筑波の猛追にあって後半38分時点で23-17。場内が異様な雰囲気となる中、相良昌彦主将不在(途中交替)の円陣でチームを落ち着かせます。

「崩せていたので、キャリアの部分だけでした。残り時間が少なかったので、『攻めるからキャリアは絶対にボールキープ。スペースは出来ているから強く低くプレーしてほしい』というのを言っていました。いい形でボールキープしながら残り時間を過ごせたかなと思います。うまく(SH島本)陽太が、レフリーとコミュニケーションを取ってくれてノータイムと僕に伝えてくれたので(蹴りだしました)。あれがなかったら、ずっと攻め続けていました(苦笑)。」

今季はインサイドCTBでプレーする機会も多く、そこでの経験が生きている部分もあると話します。

「コンタクトのところでは12番の方が強度が高いので、そこはプレッシャーを感じずにプレーできたかなと思います。あとは12番をやっていて思ったのは内側のディフェンスが止まった状態で早くもらえた方が嬉しいと思ったので、今日は雨で難しかったところはあるのですけど相手の近くに立って、速いパスモーションで12番に渡すところは意識していました。」

背番号10を守るためにも「高いスタンダードでプレーし続けたい」と話し、自身のプレーは勿論、チーム全体を動かすことも自分の仕事を言い切ります。

「課題としては前半のスペースに流れて走ったシーンとか、早めに槇とかに渡しておけば…と思いました。内返しのところとかうまくコミュニケーションを取っていればスコアになっていた。キャリアでチームに勢いを与えてくれる槇とかにもっと気持ちよくプレーをさせてあげられればと思いますが今日は二人で狙っているスペースが違っていました。また、もっとみんなにクオリティ高く意識させるのは指示を出すポジションの10番の役目だと思うので、前半と後半で(試合内容に)差が出てしまったのはしっかりしなければいけないかなと思います。」

下級生時代からアカクロの中心であり続けた吉村選手もラストイヤーの今季は副将という立場。チームのリーダーとして、試合毎に成長し続けるチームでありたいと話します。

「僕たちがワセダである以上、勝たなければいけない。毎試合勝つことを目標にするのは当たり前ですけど、成長を感じられる試合にしたい。スコアとかの勝った負けたとかの表面的な事だけじゃなく、一試合一試合プレーの質が上がっているのか、チームとしてまとまっていっているのかとか、そういうところも拘っていきたいと思います。今日は常にFWがBKに対して声をかけ続けて、BKも常にFWに声をかけ続けて…チームとしてのコネクションが切れなかったのはチームとして成長しているところではあるかなと思います。」

12番を経験したことでタテへの意識も向上、プレーの選択の幅も広がった司令塔、この先も背番号10でチームに貢献したいと意気込みます。【鳥越裕貴】



吉村紘選手。前半のPG3本が結果的に大きな意味を持つことに。「最初はベンチからの指示。ラインアウトは相手も背が高くて上手くいってなかったので、そのあとは迷いなくPGに行けていた。自信はあったので昌彦に『蹴れるよ』と声をかけていました。」

inserted by FC2 system