四年

12月18日、練習試合・明治戦。両チーム4年生を中心としたメンバー編成で行われた「前哨戦」。試合前日には上井草グラウンドでジャージプレゼンテーション。大田尾竜彦監督からお守りとともに真っ白のセカンドジャージを手渡された4年生がひとりひとり出陣の決意表明。

「4年間やってきた事をやり切ります!」「自分の全てを出し切ります。死ぬ気で戦います!」「自分は下手でも明日全力で頑張ります!」

シニアから外れている4年生で構成されたチーム、それぞれの4年分の思いを持って戦う事を全部員の前で誓います。

「持っている力を出し切るしかない、後悔のないようにしようと声をかけていました。普段あわせているチームでもないですし、個人の思いというかそういったところで今年のテーマである『Tough Choice』をひとりひとりが体現しようと(言葉を)投げかけていました。」(WTB今駒有喜選手)

敵地・八幡山に全部員がブレザー姿で集結。相良昌彦主将、鏡鈴之介副将らもベンチに入って仲間とともに戦います。前半は我慢の時間帯、前半2分にモールを電車道で押されて先制点を与えると、11分、36分にもトライを奪われて0-21…それでも簡単には揺るぎません。

「前半が風下ということもあって、そこまで焦らずというところを僕と平田からチームに働きかけていて、取られてもしょうがないと。チームの士気は落ちていませんでした。」(WTB今駒有喜選手)

後半立ち上がり、自陣ゴール前でディフェンスで体を張って相手のミスを誘うと、スクラムも徐々に修正。後半7分にスクラムでフリーキックを得ると自陣から素早く展開、右サイドをWTB今駒有喜選手が駆け上がると、左展開にタイミング良く走りこんだ3年生NO.8小池航太郎選手が抜け出してトライ。このトライで勢いづくと前に出るディフェンスから、安定したスクラムから…とトライを重ねて、後半24分には26-28と肉薄。更にスクラムでペナルティを奪うと、部員席も一体となって大盛り上がり、勝利の予感を感じさせながらも、最後は相手に逆に突き放されてノーサイドの笛。

170センチのCTB下原一真選手は攻守に体を当て続け、172センチのCTB金井奨選手は前日の上井草の誓い通りに苦しい時間帯も最後まで走り続け、178センチのLO江島航選手はラインアウトでスチール。大きくて高い相手に対して、挑み続ける姿はAチーム、そして試合を見守った全部員に勇気を与えます。

「戦う気持ちの部分…そこがあったので実力差がある中でああいうゲームができた。Aチームはあそこまでメイジと実力差がないと思うので、気持ちがあればあるほど差は埋まるし、そこをひっくり返すだけのゲームが出来ると思います。気持ちがあれば誰でもできると教えてもらいました。」(相良昌彦主将)

出場した4年生に一言ずつ声をかけ終えたAチームの3年生岡ア颯馬選手は、その中で「(来週)頼んだよ」と言葉を返されたと話します。

「4年生の意地というか、体を張る選手たちがたくさん居て、そういう人たちの代表で出させてもらっていると思うとまだまだ自分の試合のパフォーマンスは足りないなと思いました。昨日のジャージプレゼンテーションの段階から4年生のこの試合に懸ける思いを感じていて、実際プレーを見て思い一つで変わるんだなと…。あのプレーを見た後の『頼んだよ』はすごく重みを感じましたし、次の試合は本当に今までと同じ気持ちでは戦えない、まだ1週間あるので成長できること、やるべきことに全力を注ぎたいと思います。」(岡ア颯馬選手)

高校時代からのライバル今駒有喜選手と言葉を交わした槇瑛人選手はそのやり取りを明かします。

「高校時代から意識していました。大学に入ってアカクロを着て一緒に試合をするということはあまりなかったですけど、お互い尊敬していますし、僕にはないコマ(今駒選手)のいいところ、コマの雄姿を見れて『ありがとう』と。」(槇瑛人選手)

そして期するものを続けます。

「この4年間アカクロをずっと一緒に目指してきた同期たちのタックルとか、声で引っ張る姿とか、スクラムもそうですけどイッコイッコ(のプレー)に魂がこもっていて、見ていて感動しました。俺らもやらなけらばいけないとそういう気持ちにさせてもらいました。結果は負けてしまったのですけど、結果以上に残るものがあった…チームにいい影響をもたらすものがあったと思っています。必ず来週に繋げます。」(槇瑛人選手)

シーズン最終盤、敵地八幡山で見せた4年生の意地がAチーム、そして全部員の心を突き動かします。この日、通常女子マネージャーが行うジャージの準備などを担当した相良昌彦主将が150人の部員の思いを代弁します。

「いいものを見せてもらいました。結果勝ってくれたら一番良かったのですけど、それと同じくらいのことを自分たちは得られました。来週、全員の気持ち、去年の先輩たちの気持ちとかいろいろ大事な…本当に大事な一戦になると思うので、全員同じ気持ちで試合に出ていないメンバーも一緒に戦えるような週にしたいと思います。」(相良昌彦主将)

絶対に負けてはいけない相手に敗戦という事実は安易に受け入れてはいけないものの、4年生の頑張りによって大学選手権での再戦を前にチームは更なる結束を深めます。【鳥越裕貴】



試合後、整列するフィフティーンに部員席から大きな拍手。追撃のトライをあげるなど奮闘した4年生WTB今駒有喜選手は「試合が終わった時にメンバー外の人たちも涙を流してくれて…。Aチームの人たちにも頑張ってもらえるような試合になったかなと…チームにとって意義ある試合だったかなと思います。」

inserted by FC2 system