雪辱

12月25日、大学選手権準々決勝・明治大戦。後半17分、敵陣ゴール前左中間スクラムを起点にNO.8村田陣悟選手が右に8単、SH宮尾昌典選手が逆目に持ち出し、鋭角に走り込んだWTB松下怜央選手へと繋いで逆転トライ、デザインされたアタックを宮尾選手、松下選手がそれぞれ振り返ります。

「デザインはありました。相手の一人キーマンがどういう動きをしたら、どのサインをするとか、試合中のプレーのコミュニケーションで決めています。」(SH宮尾昌典選手)

「明治大学さんのスクラムブレイクはバックローの選手が順目に早く帰って、あそこのスペースが空く。それを分析した上で仕掛けるサインプレーだったので、それ通りにやったという感じです。」(WTB松下怜央選手)

2人の練習通りのサインプレーで逆転に成功すると続く19分には今度は宮尾選手が個人技で魅せます。「ある程度の自由を与えている」(大田尾竜彦監督)が話したように一人で勢いよくディフェンスラインから飛び出してインターセプトから独走トライ、試合の流れを大きく引き寄せるビッグプレーで点差を広げます。

「狙っていました。僕の立ち位置的に相手の形も見て、ココに放るな…と。賭けですけど、僕の中では70%いけるなと思ったので思い切っていきました。」(SH宮尾昌典選手)

昨年度のこの舞台は2人にとって忘れられない試合。対抗戦で17-7で勝利しながらも大学選手権は15-20で敗戦。決定的な場面でノックオンをした宮尾選手が「去年は僕のせいで負けた」と話せば、最後の場面でミスをした松下選手は「今までで1番悔しかった試合」と話します。対抗戦、そして前週の4年早明戦の敗戦で迎えた中で昨年度とは逆の形でリベンジ達成、それぞれ安堵の表情を見せます。

「最高ですね。今日は点差的にも、スコア的にも僕のトライで締めくくれました。個人的には去年の借りが返せたかなと思っています。」(SH宮尾昌典選手)

「去年負けてから1年間、絶対に勝ち切らないと意味がない試合だと言っていて、リベンジできました。準備していたプレーで本当に気持ち良かったですし、チームを勢いづけるプレーが出来たと思います。去年の長田さん(のチーム)を越えられました。」(WTB松下怜央選手)

ノーサイドの笛が鳴った後には、凌ぎを削ってきたメイジの選手と健闘を称えあいます。

「『頑張ってくれ』と言われました。去年、僕が逆に頑張ってと言いましたので、負けて悔しい気持ちはよくわかります。明治大学さんのためにも僕らは優勝に向けて頑張らないといけないな思いました。」(WTB松下怜央選手)

今季のチームの原点となった敗戦から1年、ライバルとの激闘の12月を勝ち抜いたものの、チームの目標は「荒ぶる」…気持ちを引き締めます。

「まずは一安心ですが、荒ぶるを取らないと意味がないです。メイジにリベンジできたことはうれしいですけど、あと2戦イッコイッコ集中して、明日から切り替えて次の1週間後、勝ち切ることを意識したいです。」(WTB松下怜央選手)

永遠のライバルを相手に雪辱を果たし、2年ぶりの年越し。2022年を最高の形で締めくくり、チームは更なる上昇カーブを描きます。【鳥越裕貴】



この試合に特別な思いを持って臨んだ二人。松下選手と宮尾選手(背番号9)「東洋戦も含めて今日の試合でチームが一つになってきたと思います。」(SH宮尾昌典選手)

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