充実

12月29日、上井草グラウンド。Bチームとのアタック&ディフェンス、外側の狭いスペースをパワフルなランでこじ開けるなどキレの良い動きを見せていたのが槇瑛人選手、練習を終えて汗を拭います。

「僕自身の調子は悪くないです。ただ今日はBチームの気迫が凄くて、課題も見つかった。いい1日でした。」

正月2日準決勝の対戦相手・京都産業大とは夏合宿で対戦して40-22で勝利したものの約4か月ぶりの再戦を前に気持ちを引き締めます。

「(京産大は)自分たちの強みを理解しているチーム。(夏の対戦では)個人的にもタッチに出されたり、外側のスペースをゲインされたりした試合でした。ワセダの速いアタックをしっかりやれば勝てると思いますし、いい意味で強気な姿勢で挑みたいです。」

2年生時に爆発的な加速を見せるランでアカクロデビューし、そのまま右WTBとして不動のレギュラーに。3年生時も更なる飛躍が期待されたものの試合にこそ出場しているものの振り返ると停滞の一年に。

「2年生の時は強みを出せて、ただそれがハマって試合に出させてもらっていただけなのに、変な自信が慢心に繋がっていたのだと思います。」

昨シーズンに就任した大田尾竜彦監督も初めて槇選手と過ごした一年間で気づいたこととして練習量という言葉をあげます。

「槇は練習量が落ちると試合でのパフォーマンスも直結して落ちる選手だと去年1年間、彼と初めて接してものすごく感じました。去年の10月頃には個別メニューを渡していたりしていました。」

迎えたラストイヤー、下級生時代にはほとんどやっていなかったという個人練習に意欲的に取り組むように。この日も全体練習後に小西泰聖選手を捕まえてはハイパントをあげてもらい、それをひたすらチェイス、キャッチ…。「今年になって生まれた新たな強み」というハイボールキャッチを他の選手が引き上げた後も納得いくまで繰り返します。その様子を大田尾監督は、

「4年生の意地、責任感がいい形で出ていると思います。(ハイボールキャッチも)不安を消すように練習している。慢心していないのが良いですね。」

と満足そうに話します。槇選手の変化は練習への取り組みだけでなく、チームへの声がけの面でも。

「去年までは先輩たちについて、ただプレーしているだけでした。4年生になっても正直春まではプレーで魅せればよいと思っていました。ただ、昌彦(相良主将)や吉村から『俺らのチームなんだから』と言われて、発信していくことに納得する部分がありました。そこから…対抗戦から声がけの部分でも意識するようになりました。」

準々決勝の明治大戦ではカウンターからの思い切りよいランでチームを勢いづけます。「荒ぶるに向けてまだ何も成し遂げていない」と話す心身ともに充実のトライゲッターが国立でも再び好走を見せた時、決勝の舞台が見えてきます。【鳥越裕貴】



上井草グラウンドで調整する槇瑛人選手。明治戦を振り返って「ランでは前半のいい時間帯でチームに勢いを与えられたと思いますし、ハイボールキャッチも良かったと思います。ただ前後半ともアタックで崩せる場面でセットスピードが遅れて、崩しきれなかったところがあったのでそこは課題です。」

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