緊張

12月29日、上井草グラウンド。部室の壁には「京産」の貼り紙、約3時間の練習を終えて引き上げてきた大田尾竜彦監督が準決勝への手応えを話します。

「試合中の修正力、流れを持ってくる力がついてきたかなと思います。粘りだったりワセダに必要不可欠なところも出てきて、いいチームになってきたと思います。あとはゲーム中に(選択肢を)2つ持って臨機応援に、相手の強みや弱みを分析した上で最適な選択を出来るようになってくれれば。」

キックチェイス、ディフェンスと横とのつながりを意識するメニューが多く組み込まれた中でも、選手間で「よくコミュニケーションが取れていた」と評価します。そして何よりこの日、目を引いたのがBチームの元気さ。接点でファイトし、連続攻撃でAチームを押し込みます。

「練習中にAチームが苦しんでいる…これはすごい事だなと。練習中にすんなりいって試合で苦しむより逆の方が望ましいですし、今日なんかは『苦しめ、苦しめ』と思って見ていました(笑)。苦しんだ分、本番でのいいパフォーマンスに繋がりますので。」

アタック&ディフェンスでAチームからトライを奪うと、Bチームは試合さながらのガッツポーズやハイタッチで喜びを爆発させます。相手のキーマンに合わせてピンク色のビブスを着るなど”仮想京産”を務めあげながらも、調整相手に終わることなく、練習に緊張感を持たせます。

「Bチームが使命感や責任感を持ってやってくれています。なかなか上にあがれなくても、アカクロを目指す…そういうものが出てきているのかなと思います。」

同じ時間帯にサブグラウンドで行われていたジュニアチームの練習でも4年生が雰囲気を引き締め、先に練習を終えた吉村紘選手はジュニアの選手のプレーを見て、走り込み方のアドバイスを送るなど、グラウンドの至る所で緊張と継承の光景が見られます。チーム一丸となって、迎える準決勝の対戦相手、京都産業大は夏合宿でも対戦。その時は勝利を収めたものの「夏合宿は(試合に臨む)コンディションが各チームそれぞれ違うので」(大田尾監督)と話し、警戒を強めます。

「22mに入ってからのアタック、これはちょっとレベルが違うな…と僕も感じましたし、他のコーチも感じていました。強みがはっきりした強い良いチーム、個の強い相手に対してワセダとしては組織としてどう戦うかです。」

グラウンドの入り口には11月以降貼り出されている「緊張」の文字、その言葉に相応しい空気がグラウンドを包みこみ、正月2日決戦の時を迎えます。【鳥越裕貴】


上井草グラウンドで実戦さながらのアタック&ディフェンス。Aチーム・岡ア颯馬選手の突破にBチームが食らいつく。

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