変化

2月23日、上井草グラウンドで午前は寮生、午後は外勤生が同じメニューを消化、ウエイト90分、そしてグラウンドに出て走り込みを中心に60分、体をしっかりといじめ抜きます。午前中の練習を終えて引き上げてきた伊藤大祐新主将が汗を拭います。

「ウエイトとかでも去年だったら曖昧になったところ、重量とかでも甘い設定をしそうなところを、みんなで『(重さを)足そうよ』と。やっている本人からしたら辛いですけど、(重さを)増やさせてみんなで頑張る。甘くせずに頑張ろうという中でやれているのはいいことだと思います。」

バディを組むメンバー同士で話し合いながら、更なる重量アップを促し、それを周囲も含めて盛り立てる声がウエイトルームから聞こえます。午前中の練習を終えた寮生の中には、午後に再びウエイトルームにこもって自主トレーニングするメンバーも。

「帝京に負けて個人の差をすごい感じましたし、みんなそこに向けていい感じで頑張っていると思います。足りていないところを(補おうと)やっていて4年生とかは夕飯前にウエイトしています。」

そして誰より伊藤大祐主将自身も、まず自分から変わろうとトレーニングに打ち込みます。

「準優勝だったのは悔しい経験で、自分が甘かったところ、足りていないところを痛感させられました。みんなからキャプテンに選んでもらって、選んでもらった責任というか、頑張らないと。今年はどうにかまず自分から変えて違うものを見せたいと思います。」

そしてトレーニングの質を上げるのは勿論、それ以外の時間にも拘っていると続けます。

「些細ですけど、今までの生活だったら空いた時間をあまり有意義に過ごせていなかった。今は、朝ご飯を食べたらストレッチをしたり、本とかを読んで…。午後も軽くトレーニング、スキル練習をしたり、歩いたりしてから夕飯を食べる。すべてをラグビーに注ぎたいという思いが強いです。」

これまではスマホで動画サイトを見ていた時間も「限られた時間で勿体ないな」と封印、読書でいま読んでいるのは、ローランドの「俺か、俺以外か」、その前にも「夢をかなえるゾウ」から”経営の神様”松下幸之助の「道をひらく」など様々なジャンルの本から学びを得ます。

「意味とか分かっていない部分も多いのですけど、目に留まった文とかに線を引いたりしています。松下幸之助さんの本とか、リーダーになって読んでみると今の自分に必要なもの、通じるものがあったりします。」

ワセダの司令塔、そして主将就任。グラウンド内外でチームの牽引が求められるシーズンを前に、20年前に同じ立場でチームを引っ張った大田尾竜彦監督からもまずは「思うようにやってみろ」と背中を押されます。

「背負えるものはまずは背負ってみて、その時に自分の範囲外、出来ない事は周りに助けてもらおうと思っています。プレッシャーを感じずにとりあえずしっかり考えてやりたい。(周囲に任せるものを考えるのは)もうちょっと後の作業、まずは自分が変わった姿を見せたいです。」

始動した新チーム、荒ぶるを獲りに行くイメージを膨らませます。

「チーム全員が同じ方向を向いて、さらに一人ひとりがステップアップをしながら最後は去年のようなまとまりを持ってみんなで”荒ぶる”を獲る。みんなで…というのは、この学年のムードとして元からあるので、そこの強みを生かして、仲良しクラブにならないように厳しさをもってやっていきたい。」

レスリング部や相撲部との合同トレーニングなど新たな取り組みも開始、個々の能力を高める春シーズン、まず自分が変わりたいと強く願う新主将が
チームの先頭に立ちます。【鳥越裕貴】



走り込みを行う伊藤大祐主将。ともにチームを引っ張る副将について「(岡ア)颯馬はいつでも同じパフォーマンスを発揮してくれますし、いつも円陣の時も喋ってくれる存在で助かります。(永嶋)仁は今年もFWが強化ポイントになる中でアグレッシブさを加えてほしい。村田や(佐藤)健次のような強いプレーヤーがいますので、更に仁がFWの中でアグレッシブさを持ってやってくれるといい方向に行くと思っています。」

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