献身

4月22日、4年ぶりに行われた定期戦・高麗大戦。前半2トライでチームを勢いづけたのが2年目FL粟飯原謙選手。ディフェンスのギャップを的確に突くランで抜け出して奪ったトライに手応えを掴みます。

「監督から言われている事ですけどワークレートの高さが今の自分の立ち位置では求められていて、そういう事を意識した時にどういったプレーが最適かを考えるとサポートプレーだったり、他の人が疲れているしんどい状況でも足をかき続けないといけない。そういった結果であの2つのトライがサポートプレーから生まれたのは評価してよいかなと思います。」

ルーキーイヤーから対抗戦を経験、強い相手とのコンタクトの局面で当たり負けしていた事を課題として捉え、2年目は冬本番を迎えるまでに段階的に昨年から10キロ体重を増やしていく計画、体を大きくしながらもフィットネスとの両立を目指します。

「(今日は)途中交代したのですけど、80分走り切れる体力というのが体重も増えてきている中でまだ慣れていないかなと感じています。体重を増やしている中で、フィットネスがどこまで追いつくかが今の自分の課題です。」

桐蔭学園時代に現3年生の佐藤健次選手らと全国制覇を経験、現役での受験は望んだ結果にならなかったものの

「浪人生だったりそういう人が多い部活、あとはもともと同じチームでやっていた(佐藤)健次、門脇とかとまたラグビーがしたい…と浪人期間を経て思うようになりました。」

と再び早稲田を受験、一浪で合格すると浪人期間のブランクも感じさせずに1年目の春シーズンからAチーム入りを果たします。

「高校時代を振り返ってみるとボールキャリーはあまりしていなくて、誰もしたがらないような…雑用じゃないですけど、体を張ることをしてきました。大学に入ってボールを触る回数も増えて多少ゲインできるんだなと思うようになって、ボールを持ったらどういうプレーを自分ができるのか、経験したことのない事を感じられた1年目でした。」

と新境地を開拓しつつも、シーズン終盤にはメンバーに入れず悔しい思いもします。

「(振り返ると)1年目という事を多少言い訳にしていた年。自分の中で課題を見つけていたのですけど、熱心になれなかったというのが少なからずあったと思います。早い段階で上のチームにあがってしまって、変な余裕じゃないですけど他人と比べてしまう場面が多くて、まだまだ自分がどういったことで貢献できるかがあいまいになっていたと思います。」

2年目を迎える今季、焦点をしっかりと絞ります。

「ボールキャリーをしてくれる人は僕以外にも全然そろっているので、そういう人たちが前に出てくれた時に自分がどういう貢献をできるのか…献身的なこともそうですし、チームを鼓舞する事も80分間切らさずやらないといけない。80分間走り切れる体も必要だと思う一方で、最初の10分間に一気に凝縮させて、スキルや声出しだったりというのを全部出し切る気持ちを常に持っていないとメンバーも勝ち取れないですし、自分の強みは出し切るところ、そういうのを意識して2年目は過ごそうかなと思います。」

今季のスローガン、「WASEDA FIRST」の体現者へ…最後に目標とする選手、あこがれている選手は各国代表とかにいますか?…と聞くとしばらく考えた後、

「いないですね。目立っている選手たちが結局代表になっているので…。いぶし銀じゃないですけど、あまり目立たないところで『お前がいたからこういう結果になった』と言われるくらいがちょうどいい。やることはぶらさずに自分の個性は献身的なプレーだと思うので、どういうプレーヤーになりたいかというとかっこいい言い方をすると”わかる人にはわかる”玄人好きなプレーヤーになろうかなと思います。」

チームを縁の下で支える仕事人、2年目のシーズン熾烈なポジション争いに挑みます。【鳥越裕貴】



試合後、桐蔭学園時代の同期生にて(右端が粟飯原謙選手)。「桐蔭同期全員がメンバーに入っていたので、それだけでもモチベーションがあがりますし、みんなFWなのでみんなで頑張っていきたいですね。」(粟飯原謙選手)

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