開幕

4月22日、4年ぶりに行われた定期戦・高麗大戦。2023年度シーズンの春開幕戦でいきなり5トライを記録、88-7の大勝に貢献したのが4年生WTB磯崎錬太郎選手。徳島・城東高校でラグビーを始めて7年目、これまで経験がなかったというハットトリック、それも十分に”お釣り”が来る結果に周囲への感謝を口にします。

「抜けた時のサポート、自分なりの出来ることを淡々とこなしていった結果が5トライに繋がったかなと…。周りの仲間に感謝したいです。」

5本の中で自身ベストトライと位置付けたのは後半16分のトライ。SO伊藤大祐主将からのキックパス、インゴールで弾んだ楕円球をデッドボールラインギリギリで押さえます。

「自分の中では理想的なトライ。(伊藤)大祐とアイコンタクトを取って、指示を出して自分の意図したプレーで獲れたトライ。(デッドボール)ラインも気にしながらどう回り込んだらトライを獲れるか走りながら考えていたのですけど、うまく反応出来ました。」

初心者の頃に一度WTBを経験したというものの高校時代そして大学入部後のポジションはバックロー。より強味を発揮したいと2年の夏にWTBへのポジション変更を首脳陣に申し出ます。

「自分の強みをどのポジションが発揮できるかを考えた時にWTBの方が活躍できるのではないかと思いました。僕の学年とイッコ下にはバックスリーで推薦のスーパースターもいなくて、競合を考えた時にもチャンスがあると決心しました。」

体重と体脂肪の目標設定をクリアする事がコンバートの条件として首脳陣から示されると、そこから通常のトレーニングに加えて走り込みを増やしたり、食生活も自ら改善に取り組みます。栄養素を考えながら低脂質、高蛋白な料理を自炊するなど、パスタの油のグラム数にも拘りながら、約束の数値を半年かけて3年春に達成、ポジション転向します。その年の春シーズンからアカクロ争い、絶対的存在だった一学年上の両WTB(松下怜央選手、槇瑛人選手)の背中を追いかけてリザーブとして大学選手権決勝の舞台も経験します。

「自分の中では自信になった一年。体の強さやスピードを存分に活かせて、(一年で)ここまでたどり着くことが出来ましたし、去年積み上げたものが今の自分の自信になっています。」

飛躍の一年を経てのラストイヤー、目標とするのは先輩・槇瑛人選手(現静岡ブルーレヴズ)。

「槇瑛人さんみたいなザ・ランナー…取り切ってほしい時に取り切れる力を持ったトライゲッターに自分もなれるように。(卒業時)槇さんからは『最後は気持ち』…と。スキルがあってもラグビーは気持ちが重要なので、強気でいく姿勢を忘れるなと教えてもらいました。」

全員がリーグワンに進んだ一学年上のバックスリーの卒業で、春から熾烈なポジション争い。実績面でリードする磯崎錬太郎選手は最上級生としてバックスリー全体の底上げを誓います。

「(1年生)矢崎君はステップもすごくてスピードもあるのですけど、自分の差別化ポイントはパワー。ワセダの継続するラグビーにおいて自分のパワーは役立つのではないかとストレングスにも真摯に取り組んで目標の数値設定ももっと高くして、より強いWTBになれるように精進していきたいです。去年の4年生バックスリーは強力でしたけど、去年と違った色を出せると思うので、自分が引っ張ってバックスリー全体として成長していきたいです。」

この日、セットプレー時のディフェンスでは伊藤主将に代わってSOの位置に入るなど、ディフェンスでも体の強さに期待が寄せられ、自身も春シーズンの課題だと認識します。

「ディフェンスは30点くらい。もっと下に入れるところもありましたし、内側とのコネクションにミスが出て1コ、ラインブレイクされました。そこはWTBにない難しさですが、アタック&ディフェンスなどの練習でまわりとコミュニケーションを率先して取って改善していきたい。今はディフェンスでターンオーバーをするというのを1試合で1つと心掛けています。アタックでどれだけ貢献してもディフェンスで抜かれてしまってはあまりいいWTBと言えないと思うのでディフェンスでも貢献できるようなWTBになっていきたいです。」

ディフェンスにも真摯に向き合いながら、強さとスピードを武器に”ポスト・槇瑛人”へ。磯崎錬太郎選手のラストイヤーがド派手なトライラッシュで幕を開けました。【鳥越裕貴】


後半28分、この日自身5つめのトライをあげるWTB磯崎錬太郎選手。「ディフェンスの練習を今季すごく取り組んでいて、前に出るディフェンスをチームとしてやっています。それが出た結果、相手にプレッシャーがかかって、ボールをロストしたところを僕が拾って…という感じで出来たので、チームディフェンスが成立したおかげのトライです。」

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