初戦

5月7日、関東春季大会初戦・東海大戦。雨の小田原でFW陣がモールで2トライをあげるなど力強さを見せれば、ディフェンスでも激しさを見せて33-19と勝利を収めます。

「僕が監督になって勝ち星がなかったのは東海さんだけだったので、個人的にも勝ちたいなと思っていました。春季大会初戦というところで、これまで2月から準備してきたことをどれだけ出せるかというところで今日の試合に臨みましたけど、今年にかけるメンタル的なところだったり、プレー面でもそうですけど、今出せるものは出してくれたかなと思います。」(大田尾竜彦監督)

約10年ぶりの東海大戦勝利、春先とはいえ白星の結果に指揮官も胸を撫でおろします。競技場に併設された会議室で行われた記者会見、メディアからタックルの精度の良さについて問われると

「昨年の決勝を受けてコンタクトの部分を全面的に見直しています。レスリングは去年やっていなかったのですけど、相手を倒す動作とかヒントになるところが多いのでもう一回導入しました。やっているメンバーは2月からやっているので成果が表れています。非常に相手を倒せるタックルが増えてきたなと思いますし、試合を通して練習の成果、意識が出ているなと思います。」

レスリング部への出稽古、そして上井草に太田拓弥さんをコーチとして招いて行われているトレーニングの効果に手応えを掴めば、更には学生アナリストとも協力してスタッツの取り方も見直していると続けます。

「自分たちにより厳しく、倒し方の種類や、成功の種類を少し見直しています。倒しているけど受けている…止めていたけど相手の方が優位であったり、一応止めていますみたいなタックルをBadとしてカウントすることにしました。去年までは一応倒したみたいなタックルをGood、成功にしてカウントに入れていたので、今年はそれを失敗に入れています。受け身のタックルをどれだけ減らすかが今年のポイントなので、しっかりタックルに入る、倒しきるところを評価するようにしています。」

上井草での練習の強度も昨年度と比べて高く、フルコンタクトの練習でバチバチとAチームとBチームが体をぶつけ合います。

「昨年度はフルコンタクトしない代わりの練習をしていた部分も、今年は全部フルコンタクトに変えています。無理くりやるのではなくて、勝つためにはこういう事が必要だと、リーダー陣にまず話をしてリーダー陣も理解した上でフルコンタクトの練習を多く入れています。」

代償としてケガの心配がついてくるものの、今年度から委員を務めリーダー陣の一人である3年生佐藤健次選手も頷きます。

「練習の強度も昨年に比べて高くなっていますし、それが試合に出て今日はいい試合ができたのかなと思います。フルコンタクトのメニューが増えていますけど、優勝するためにはそこは逃げられない場所だと思うので、毎回毎回AとBでバチバチやっていければと思っています。今日の試合でもやっぱり相手の強いランナーに対してまだ行けていないところがあったり、ここで一本刺さればターンオーバー…というところでちょっと引いてしまったりとかそういうシーンがありました。この強度がゴールじゃないので、今日の反省をしてもっともっと高いレベルでコンタクト強度をあげていければよいかなと思います。」(佐藤選手)

そして、もう一つ重要視しているのが部内競争を通じた個々のレベルアップ。上井草の練習ではグラウンドにホワイトボードを置いて、個々人がその日の練習に対するテーマを設定、練習が終わると再びホワイトボードの前に戻ってきて、その日の総括を書き入れます。この日のゲームも、チームとしてのゲームテーマはあえて設けなかったと指揮官は話します。

「今日は僕からは特にテーマはなく、各個人にテーマを決めさせています。自分に勝つテーマ、それをやりきるのがスタートだと言っています。去年からの経験者が多く出ているので、自分達で課題を見つけて自分達でコミュニケーションを取りながらやっている姿が練習中から印象的で、そのあたりが試合中の繋がりに出ていると思います。今年はやはり自分達で作らせたいです。」

矢崎由高選手、松沼寛治選手ら大型ルーキーが加入した今季、報道陣からオススメの選手を問われると

「昨年まで試合に出ていた選手が多く出ているので、その中でも更にレベルアップしていくという意味では伊藤にやってもらわないと困りますし、あとはバイスキャプテンの永嶋とかは昨年のプレーの質よりもかなりあがったのかなと思います。新しいポジション、新しい選手というよりも去年までのプレーをかなり軽々と超えてきている選手が多いなと…昨日も(Bチーム以下の)練習試合をしたのですけどそう思いましたし、昨日今日を終えた僕の感想です。いまのパフォーマンスを(上級生が)続けていると、(1年生は)なかなか難しいんじゃないかと思います。」

個々のレベルアップの先に見据えるのは春・帝京戦時点での相良組超え。

「(春としては)やっぱり帝京をターゲットにしたい。スタッツ上の話としては去年のチームのアベレージは超えたいなと思っているので、スクラムであればマイボールキープ100%、相手ボールのペナルティをなくす。ラインアウトは85%確保…みたいなイメージで6月で相良組を超えたいなと思います。」

初戦をターゲットにしてきたという伊藤大祐主将も試合後の記者会見ではすぐに気持ちを切り替えます。

「来週は明治戦があるので、そこに向けてトレーニングして今週よりいい状態で臨みたい。」(伊藤主将)

関東春季大会、招待試合をあわせてAチームは2か月間で7試合のスケジュール、一試合毎の成長を誓います。【鳥越裕貴】



ゴールデンウィーク中、フルコンタクトで練習を行うA、Bチーム。3年目を迎える指揮官は「時間がすごくかかるところと、彼らの持っているものでいいものが作れるところが理解できるようになってきました。全部が全部コーチング、ティーチングじゃなくて、(学生たちも)いいアイデアを持っていますのでそういうところは選手が、練習強度とか時間とかしんどいところはこっち(指導陣)が線引きしてやっています。」(大田尾竜彦監督)

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