兄弟

7月2日、関東大学オールスター戦。対抗戦選抜チームに直前で追加招集され、「ビックリしたし、緊張した」と照れ笑いを浮かべていたのが4年生・池本大喜選手。世代別代表経験がなく、早稲田実業から早稲田大学と”ワセダ”の中で育ってきた池本選手にとって、帝京やメイジといった強豪校の選手と同じチームでプレーをする貴重な機会となりました。

「プレーひとつひとつの本気度、ラグビーに取り組む姿勢や、気持ちの部分が全員高かったです。」

ラストイヤーの今季はチームの中心選手、セットプレーのキーマン。練習や試合に臨む気持ちも去年までとは異なります。

「去年はメンバーに入ったばかりでついていくので精一杯だったのですけど、(今年は)余裕もできて周りに対して指示したり、ラインアウトのセットプレーの中では引っ張っていけているかなと思います。」

6月には佐々木隆道ヘッドコーチもチームに合流、モールに手応えを感じていると話します。

「今まで疎かになりつつあったディテールの部分でもう一度立ち返って指摘して下さる。ラインアウトからモールを組むとなった時、リフターの寄り方、ジャンプの仕方だったり、最初の細かいところからひとつひとつ落とし込んでくれています。」

そして今年、3歳下の弟・晴人選手も入部、「刺激になる」と話します。その弟・晴人選手は兄の存在について

「家に居る時は感じなかったのですけど(笑)、この部活に入って大喜の凄さが分かりました。ポジションは違うのですけど憧れです。」

晴人選手は春シーズンを主にCチームでプレー、大学レベルの試合経験を積み上げます。中でも忘れられない一戦は新人早明戦。これから先、戦い続けるライバル校の同級生に圧倒されて完敗、試合後大田尾竜彦監督から送られた言葉が刺さります。

「監督からも『これくらい差があると分かったと思う。それを相当な覚悟で埋めなきゃいけないし、それを体現するのはお前らひとりひとり』と言われました。4年間でこの点数差をひっくり返します。」

続けて「自分達から…」と言葉を発した後に言い直します。

「自分から、もっとチームを引っ張っていかないといけないし、この点数差を悔しいで終わらせないで次につなげられるようにしたい。」

勝負の夏、兄弟それぞれに課題を口にします。

「セットプレーのところは今年良くなっていると思うので、フィールドのところでワークレートをあげてアタック、ディフェンスともにもっと色んな場面で絡めるようになりたい。」(大喜選手)

「期待されているのはゲイン、相手とのコンタクトのところ。高いレベルで通用できるようにはまだなっていないので、ゲインラインバトルを練習から意識していきます。」(晴人選手)

同じ経歴を辿りながらも一緒にプレーできるのは、ともに大学生となった今年が最初で最後。言葉を揃えます。

「カテゴリーが違うので練習も一緒に出来ていないのですけど、大喜と同じチームで出られるように頑張ります。」(晴人選手)
「同じアカクロを着て、最後は一回でもプレーが出来たらと思います。」(大喜選手)

兄の背中を弟が追いかけます。【鳥越裕貴】


”兄弟アカクロ”を目指す兄・大喜選手(左)と弟・晴人選手(右)

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