再起

12月10日、4年早明戦。最終スコア12-40…4トライ差での敗戦にゲームキャプテンを務めたLO藤井将吾選手は悔しそうに振り返ります。

「本当に勝たなければいけない試合で、勝ちきれなかったっていうところが一番大きな反省点です。」

それでも点差をつけられながらも、一つの局面、一つの接点に勝負を懸ける4年生の姿勢にノーサイドの笛が鳴るまで緊張感に包まれた一戦に。試合前日にはサブグラウンドで、純白のセカンドジャージの授与式と出場する4年生がひとりひとり決意表明。春先の大怪我から地道なリハビリを乗り越えて、対外試合復帰となった藤井将吾選手の言葉、そしてこの日のプレーは全部員の心を揺さぶります。

「フジに関しては、昨日今日だけの話じゃなくて、半年以上本当に辛い…辛いはずなのに一生懸命リハビリを頑張ったりしている姿を見ていたので、まず復帰できてよかったなっていうところと、本人はでもそれでは全く満足してなくて、もっともっと上に…と思っているので、今日また一歩ステップアップして、一緒に頑張っていけたらいいなと思います。」(伊藤大祐主将)

藤井選手だけでなく、再三のジャッカルでピンチを救うなど体を張り続けた小池航太郎選手、ボールを持つ度に鬼気迫る前進を見せた磯崎錬太郎選手など4年生のひとりひとりが前日の決意表明での言葉をグラウンド上で体現します。

「みんな本当に強い意志があって、目の色を変えてやっていたと思います。今日の試合だけで終わらすのじゃなくて、4年生がしっかり1日1日引っ張っていくことが、やっぱり大事かなというのを今日の試合を振り返って一番強く感じました。」(藤井将吾選手)

伊藤大祐選手も言葉を揃えます。

「磯崎も小池も…今までとは違うものを見せてくれて、それがやっぱり嬉しかったです。4年生の意地というか…そういう言葉では片付けられないですけど、そういうものが見られましたし、Aチームが一番やらないといけないのに、今日4年早明の4年生たちにチームを任せてしまったところが申し訳なささえ感じました。」

メンバー発表が行われた火曜日、生まれて初めてのゲームキャプテンを言い渡されたという藤井選手は「言葉で引っ張るのはあまり得意な方ではないので…」と体で示そうと考えてプレーに集中すると、気づけばその周囲にはAチームの4年生の姿がありました。

練習中から伊藤大祐主将をはじめ両副将が4年生チームの雰囲気作りをサポートし、当日はウォーターボーイを担当。川ア太雅選手は女子マネージャーに教わりながらセカンドジャージをキレイに並べ、そして大きな体を屈めながらシワのひとつひとつを伸ばし、メンバーが気持ちよく試合に入れるように裏方仕事に徹します。

「4年生のミーティングでも『試合に出ることはできないけど、サポートは全力でする』とAチームから言ってもらえました。まわりの4年生には本当に言葉以上にいろんな行動だったり、練習の態度だったり、普段と変わらないかもしれないですけど、ゲームキャプテンという立ち位置になるとそういうところが凄い見えてきました。4年生が支えてくれたというのは本当に有難かったです。」(藤井将吾選手)

Aチームの4年生が場を作り、下のチームの4年生がそれに応えた一戦。藤井将吾選手も伊藤大祐主将も決意を新たにします。

「この試合を最後の試合、記念試合にするつもりは全くないです。ただ、本当にもう試合数は限られている…、早ければ1試合で終わってしまうというところで、アピールの場というのも、もちろん少ないと思うのですけど、だからこそ本当に1日1日の練習にどれだけ懸けられるか、まだまだ本当に諦めていないので、そういうところを体現できればと思います。」(藤井将吾選手)

「早明戦に負けて、僕たちに足りていなかったマインドの部分を今日見せてくれました。今日4年生が示してくれたので、今度はAチームがそれを示せないわけにはいかないです。Aチーム自体すごく良い練習、激しい練習が出来ているので、ワセダとして選手権…まず法政戦に出せるように、今日もらったものを必ず良いものにしたいですし、このメンバーでもっと長くラグビーをして荒ぶるを獲れるように頑張りたいです。」(伊藤大祐主将)

戦列復帰した藤井選手にとって、早明戦完敗のチームにとって、再起を懸けた戦いが始まりました。【鳥越裕貴】



長いリハビリ生活を乗り越えて対外試合復帰のLO藤井将吾選手。「僕自身、強みにしてきたのはやっぱりワークレート。長い時間、本当にどれだけ動き続けられるか、どれだけチームが苦しいときに走れるか、そういう意味では(出場した)60分の中でやれることは、出来たのかなという気はします。」と手応え。

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